2013年5月26日日曜日

デング熱。

ソロモンは蚊が媒体となって起こるマラリアの危険地区です。
この2年程で、マラリア件数は激減していますが、まだまだ多い。
国内では、首都ホニアラが一番のマラリア汚染区なのだけど、
首都でマラリアがまだまだ残っている国は珍しいんだとか。

38℃以上の発熱があれば、まず疑われるのはマラリア。
『風邪をひいた。』と同じくらいの受け取り方です。
正直、日常的過ぎて、あまり危機感がない。
アフリカでは、マラリアが原因で亡くなる人も多いし、
危険なものとして認識されているらしいけど。
南国は食べ物がある分、大らかなのかもしれません。
マラリア脳症で後遺症が残る子たちは、けっこういるのですが、
マラリアの認知度とともに、それも何となく減ってきているような気がします。

蚊が媒体となって起こるもうひとつの病気・デング熱。
中南米、アジアでよく聞きますね。
しかし、ソロモンをはじめとして、
大洋州の国々ではほとんど発生していませんでした。
そのため、ギゾでは検査することすらできなかったくらいです。


1年以上前にトンガ・サモアでデング熱が流行したと同期から聞いたときには、
ソロモンでは全く流行していませんでした。

去年7月に行われたアートフェスティバルの際に、
トンガ・サモアをはじめ、多くの外国人がソロモンを訪れました。
その際、対策として、デング熱の検査キットが10個だけギゾにも届きました。
10個だけで大丈夫なのか・・・と思ったけど、
その時は、ギゾでの発生はなかったのでした。

ただ、ホニアラではその時に2~3例のデング熱が見つかったとのこと。
そして、数ヶ月後の今年2月。
ホニアラでデング熱が大流行しました。
現在もまだ収束しておらず、ホニアラだけで、
現在までに3000人がデング熱ケースを疑われ、
900人の感染が確認されています。死亡例も5例あります。
デング熱の数パーセントは、出血性デング熱といって、
体の中で出血しやすい状態となって、重篤化する場合があるのです。

デング熱は、蚊の持つウイルスによって引き起こされています。
そもそもの発端は、アートフェスティバルの際に発生したものが原因と言われています。
その蔓延力にはあっぱれです。
そもそもデング熱を引き起こす蚊は、ソロモンにもたくさんいました。
ただ、その蚊たちはウイルスを持っていなかった。
それが、デング熱を発症した人たちを刺し、蚊が感染。
感染するのは、メスの蚊だけ。
メスが産卵。デング熱ウイルスを持つ蚊がどんどんと増えていったようです。
蚊の繁殖率、半端ないですね。

ホニアラでの発生から1ヶ月程して、
ギゾでもデング熱のケースが発症。
何人かはホニアラから戻ってきた人たちでした。
ギゾだけで、週に4~5件ペースで増え続いたときは、
どうなってしまうのかと思ったけど、2~3週間程でペースは落ちました。
現在までの3ヶ月で20件で落ち着いています。。

それは、何故か。
対策・対応が早かったのです。
ギゾでデングが見つかった週末には、マーケットをはじめとした
いくつかの場所で、ヘルストークが展開されました。
マラリアは知らない人はいないくらい知られているけど、
デングは全く知られていないのです。
デング熱が発生したこと、蚊で媒体することだけでも伝わると、
多少は、気をつけようとなるはず。
日本だったら、メディアがこういう情報を拡散してくれるけど、
ソロモンでは、やはりアナログな方法が先行しました。
WHOからもスタッフ向けのワークショップが翌週には開催。
蚊よけのスプレー噴霧も翌週には、はじまっていました。

ギゾの場合、患者さんの住んでいる地域が限定されていたというのも、
大きかったのかもしれません。
その地区は、ギゾ周辺の中では、少し不衛生と言われている地域でした。
デング熱には、治療法がなく、対症療法のみ。
(対症療法は出ている症状を和らげるだけ。根本は治療できません。)
なので、対策としては、いかに蚊に刺されないようにするか、
蚊を発生させないようにするかしかありません。

デング熱の猛威を受けて、
急遽、ナショナルクリーンナップDAYなる日もできて、
ある平日の午後には、祝日扱いで、そうじをしたのです。
ソロモンならではだと思いました。

去年、風疹がソロモンで大流行したときも、
首都ー州都ー周辺の島という具合に、
流行にタイムラグがあって、興味深いなぁと思ったのだけど、
今回も、人の流れを反映した広がり具合で、
実に興味深かった!!

ギゾでは、新しいケースはほとんど聞かなくなったけど、
最近、同じウエスタン州のムンダでデング熱が発生。
1週目では11件、2週目には20件に到達。
この上昇ペースはちょっとこわい。。。
たったの2週間でギゾでの発生数を越してしまいました。
人口は、ギゾのが多いのです。

それにしても、ここまで蔓延すると、正直ちょっとこわい。
収束には、まだまだ時間がかかりそうです。

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