2012年8月4日土曜日

海の恐ろしさ。

小さい島から大きめの島まで、たくさんの島が点在しているソロモン諸島。
特に、私の住んでいるウエスタン州は、たくさんの島々で構成されています。
病院に受診するため、野菜たちを売るため、
生活に必要な物を購入するため、給料を下ろすため。
(ウエスタン州には、ギゾとムンダにしかATMがないのです。)
様々な理由で毎日、いくつかのボートがやってきます。

近くでは、ギゾ島の対岸から5~10分くらいで、
遠くでは、4~5時間くらいかけて。
さらには、お隣のチョイセル州からもやってきます。

天気が良い日は、それほどの危険はないのだけど、
天気が悪くて海が荒れている日は、大変。
全身ずぶ濡れになったり、お尻が飛び上がる程の振動だったり、
大波に飲まれそうになったり。

そんなで、毎年、ちょくちょくあるボート事故。
見つかればいいけど、行方不明なんてことも、本当にある。


今年の3月には、ギゾ島から10分くらいの島から
釣りに出かけたボートが行方不明に。
2週間以上見つからず、家族はもう天国へ行ったものだと諦めていた。
ところが、18日漂流して、通りかかったPNG(パプアニューギニア)の船に発見されて
無事だった。
ウエスタン州は、PNGに近いと言っても、ギゾからではかなり距離がある。
彼らは、船の上で、雨水をためて飲んで、釣った魚を生で食べて、生き延びていた。
なんという生命力。
ちなみに、彼らは、PNGから飛行機で帰ってきました。

同じく今年の3月に、チョイセル州から出た船が行方不明に。
その船は、どうなったのか、追跡情報なし。

そして、7月末。
ギゾ島から天候が良ければ4時間程という、
ショートランドのNilaに向かっていた船が転覆。
(私が5月に行った場所です。)
戻ってこないのを心配しながらも、様子を見ていたそう。
転覆したのが土曜日の午後。
発見されたのが月曜日の朝。
10人中4人は亡くなった。そのうち二人は3歳と7歳の子供。
一人は、フィリピン人。
私がNilaで会った人だった。
生き残った6人の内の一人が近くの島にたどりついて、
転覆したことが伝わって、それから他の人が救助されたそう。
1日以上、海に浮いていたことになる。
想像を絶する生命力である。
しかも、ずっと天気が悪くて、波も高め。
どういう状況だったかわからないけど、
そんな中で生き残っていたなんて、軌跡とも思う。

その事故の後くらいから、波は少し穏やか。
人を飲み込んだから、海が穏やかになったんだって、
みんな言ってる。

今週は、この話題で持ちきりだった。
体力のない子供たちが先に亡くなって、
両親は仕方なく、遺体を手放したこと、
(フィリピン人の遺体以外は見つかっていない。)
転覆したときにケンカが始まったとか、
土曜日は天気が悪くて、出航するべきではなかったとか、
私も人づてに聞いたココナッツニュースばかり。
(ココナッツニュースとは、噂話のこと。
ココナッツは実が落ちて流れ着いて他の場所へ自生する。上手い例えだよね。)

何人かは、ヘリで首都に運ばれたのだけど、
何人かは、ギゾ病院に入院していて、彼らは衰弱くらいで、
休養と点滴で回復して退院。
でも、さすがにエンジンボートには恐怖心があるようで、
来週の定期船を待って、Nilaへ戻るそう。

ショートランド、チョイセル周辺は、潮の流れがあって、
普段から波は高め。
満月に向かうときは、あまり海に出ない方がいいという言い伝えもある程。
海を甘く見てはいけないと、こういうことが身近で起こると、
本当に、つくづく思う。
そして、小さな国なので、知り合いもどんどん増えてて、
ニュースのひとつひとつがとても身近に感じられます。

亡くなった方々のご冥福をお祈りいたします。

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